例によってネタが無いときのアニメ感想です。
子供のときこれ見てなんじゃこれ?と思ったのですが
今見ると大変面白い。
まず冒頭の諸星家の一日が母親の視点で描かれているのですが
実に生活観あふれ、なおかつエネルギッシュな世の母親像を
旨くデフォルメして描いているなあと。
こういうところ前期の押井さんは大事にしていましたね。
それと家族を起こして朝飯食わせるシーン、諸星家の皆が
思い思いに自由に動いている感じが凄くいいです。
昼に鉄アレイトレーニングを
テンちゃんと一緒にやるところや、お昼寝もテンちゃんと
一緒のところなんか、漫画では表現していない家族間の隙間を
上手に埋めている。最後のお風呂のシーンまで
全く隙が無い。こういう間のとり方が後期には
見られないんですよね。残念。
ひとしきり紹介した後で本題に入る訳ですが、
バーゲンセールのプロレス技の応酬は
当時金曜ゴールデンタイムに新日本プロレス
が大人気だったことも背景にあるのでしょう。
で、ここからが夢と現実の始まり。サクラ、
温泉、メガネ、面堂精神科医の其々の
個性を生かして旨く演出。力入ってます。
メガネの夢の分析もいい。ここから
お母さんの独壇場、圧巻です。欲望むき出しの
お母さんにテンちゃんが夢から醒めさせます。
ここまでものすごく怖い話なのにそう思わせないのは
うる星の懐の深さで、ところどころに不条理なギャグを
ちりばめるのが旨い。牛丼屋から牛強奪ってどーよ(笑)
そして平凡にベッドから目が覚めてから外に出ると
一気に不条理のオンパレード。友引町が宇宙戦争の
パロディと化し、「こりゃああたしの趣味じゃないなあ」
の一言が憎いです。
戦車に踏み潰されそうな子供を助け、夫が殺されるのを
目の当たりにするこの無茶苦茶さ。極めつけは宇宙人チェリー
の総攻撃、もう収拾つきません。
面堂切り込み部隊が登場しあとは爆破で幕。
こんな終わり方うる星以外で絶対に出来ません。
あの時なんじゃこりゃと思ったものが今見ても
通用するほど面白い、本当に凄い作品です。
20年以上経って鑑賞に堪えるアニメなんて
そうそう無いんじゃないですかね?
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